東北・山行&巨樹巨木の旅
6月12日(土)晴れ 《あがりこ大王》 巨樹巨木巡り
 

ルートイン鶴岡泊 (山形県) 走行距離 228km 〈恭子〉


バスクリーンのような温泉

 国見温泉の朝は気持ちよく晴れていて明るくて目が覚めてしまった。朝風呂に入る。泊り客が居たはずだが館内は静かだ。ところでここのお湯はバスクリーンのようなグリーンで硫黄の湯独特の黄色さが少ない。お湯そのものは透明で不思議な温泉だった。温まる。足の疲れが取れていくのが分るような心地良さでもある。


中島台レクリェーションの森 案内図

 

 


 朝、出発時に驚いた。車が駐車場はもとより、道路に延々と並んでいる。一帯この車は?山菜採りの車だそうで、主として細いタケノコを取りに来るらしい。旅館のご主人が熊の食べる分までみんなが採りあさると話していたそうだが、その話が嘘でない事が分かる。行けども行けども車、車で頬被りして長靴を履いた人が降りてくる。鶴岡の道の駅で500円也でそのタケノコが沢山売られていた。今までにも私達の食事にも出てきて何度か食している。

 懐かしの角館を通りがかり出発してから1時間経っているので駐車場があるお茶処「くら吉」でコーヒータイムにした。もろこしという餡で作ったお菓子が出た。美味しいので日程指定で宅急便にした。葉桜の枝垂桜も大きく趣がある。

 ところで今日は鳥海山近くの巨木ブナあがりこ大王を見に出かける。昨日の岩手山は10時間以上も歩いたそうだが後遺症は余り出て来ないのでホッとしている。チタンマンは左足のチタンの部分が疲れているのが分るよと話しているが、総じてみんな元気満々!それに今日も快晴なのが嬉しい。


鬱蒼とした森の中を歩く

 鳥海山北麓の中島台レクリエーションの森内にあるブナの巨樹がたくさんある森林公園なのだそうで、スノコ状の木道を歩くようになっているが、観光客やハイカーに多く出会う。入り口に熊出没注意の看板に気付き平井さんが直ぐに熊除けの鈴をつける。この森林公園は「あがりこ」と呼ばれる人手の入ったブナ林である。人の手によって切ったところがコブになったブナが見受けられる。
 『中には古代ブナと呼ばれる貴重なブナも生育し、点在する湖沼にはマリモも見られる時代の流れから取り残された桃源郷のよう。おそらく東鳥海山崩壊による岩屑なだれによって、ある程度進化していた環境がリセットされた結果であろうか。"あがりこ"とは、地上から上がったところから子が出ているという意味を表しており、かつて人により伐採され、その部分から新たな芽が吹き成長していったものであろう。よく奇形ブナといわれるようであるが、それはブナに対して失礼と思うのであるが・・・。』


「燭台」左の枝は「ニンフの腰掛」という

 本来、巨木ブナの詳細は平井さんの分野で、私は愉しい思いをしたその光景を書くのみです。
 素晴らしい森林の中を歩くと燭台に似たブナがあるよと教わって、そこでは先客が写真を撮っていた。どれも触る事が出来るのが嬉しい。先に進むと炭焼き釜があった。"あがりこ"の由来は此処にもあるのかもしれない。その昔、ブナが雪の上に顔を出している枝の一部を切ってこの炭焼き釜で焼いていたのだろう。切られた所から又枝を伸ばし、或いは主軸に栄養が回るようになり太くなったりしたのかもしれない。どの樹もあがりこ大王に感じる立派なブナが目に入る。それもそのはず鳥海山から流れ出る水をたっぷり含んでいるわけで。カツラの樹も見受けられ瑞々しい。
 
 囲まれた中に大きな樹が見えた。人も集まっている。あがりこ大王が控えていた。私は本当はスマートな形だったのですよ。でも根性で勝負ですと言わんばかりに堂々としている。ハイカーや家族連れが来ている。平井さんはカメラに夢中。主人もスケッチを始めた。お菓子を食べたりのんびり遊べる巨木観察もこの中島台森林公園が居心地がいいからだろう。それでも鳥海山のお膝元だけあって熊注意の立て札がある。森林公園で遊びたい気分だったがドライブも楽しい。


上がりこ大王は見る目によっては無残な姿を晒していた

 秋田県にかほ市象潟の道の駅は漁港らしく魚の市が開かれていて賑わっている。立ち並ぶお店に入って牡蠣天?うどんを食べた人、塩ラーメンを食べた者、実は毎晩ご馳走攻めにあっているので食べ物にそれほど貪欲ではない。満腹になって鳥海山の登り口まで一気にドライブすることになった。

 

 


鳥海山を望む展望台にて

 スカイラインからは青空の下、所々に雪を頂いた鳥海山が見え隠れする。昨日岩手山で出会った関西から来た男性は鳥海山は雪が多くて困りましたよと話していた。登り口の鉾楯展望台まで行く。山頂が近くに見える。あと1100m登れば山頂だ。昨日の岩手山は1400mの標高差。ふと大きな事を考えてしまう。雄大な景色を見てレストランでティータイム。

 夕方着いた鶴岡のルートインはビジネスホテルらしくコインランドリーの設備も整っているので、しかも今回3度目で慣れたもの。洗濯機にお任せ状態でまずゆっくり大風呂に浸かる。乾燥機に入れたまま外へぞろぞろ歩き出し、結局居酒屋「養老の瀧」に入った。初日の北上の「魚民」とは違って、かなり地方色も取り寄せられていた。生ビールの乾杯は毎度のことだが、地酒の呑み比べが面白くかなりいい気分になった。桂ちゃんは飲めないといいつつしっかり味わっているから面白い。松原さんと主人は気持ちよさそうだし、平井さんももっと酔わせてあげたいけれど明日も早朝運転が待ってるわけで、なーんてね!呑んでますよね!みんないい気分になって話が尽きないですね。


地酒の呑み比べ

こっちも呑んでますヨ

 ホテルに戻り会計としては最後の集金をしようと声をかけておいた。いつものように隣の平井さんの部屋はドアが開いていてみんなを待ちながらあすのコースをパソコンに入れている。おそらくみんなは部屋に戻ったらバタンキューだったのかもしれない。すぐそう判断して「おやすみなさい」と私も部屋に戻った。きっとみんな地酒で酔いが回ったのでしょう。今夜も心地良く眠れそう!

〈ここから芭蕉(たけし)になる〉
 東北の旅に出て芭蕉の句が時おり頭を横切る。二十歳代に完璧に暗記したのだが、ボケ始めた頭からはなかなか正確に出て来ない。"・・・・・雨に 西施が ねぶの花"が浮かび上がってくるのだが、上の句が出てこない。ところが象潟の道の駅に着いてハッと思い出した。

    象潟や 雨に 西施(せいし)が ねぶの花
 芭蕉はこの句の前に次のような文章を掲げている。"松島は笑ふが如く象潟はうらむがごとし。寂しさに悲しみを加へて、地勢魂(たましひ)をなやますに似たり。"
 中国古代の四大美人のひとり、西施のうらみ、悲しみと梅雨に濡れたねぶの花をかけたのだろうか、解釈はよく分からないのだが、俳句の韻の良さで私の好きな句のひとつだ。
 
 芭蕉の句にあわせて同行の曽良も象潟の祭りを詠んでいる。

    象潟や 料理何くふ 神まつり <曽良>
  かき天丼を食べた後だけにこちらの句のほうが分かり易い。


各日の一覧表