銀世界に遊ぶ・・・
1月15日(土) 伊豆が岳 20名


 
 帰宅後、パソコンの電源を入れたがディスプレイの画面は真っ黒。一瞬パニック。明日にはホームページで「伊豆が岳MMC」の報告をアップする予定にしていたので焦った。何度やっても同じ、諦めて風呂に入り、いつもの通り晩酌をして寝てしまおうと思ったのだが、やはり気になって仕方がない。結局、パソコンを分解して基板も抜いて裸の状態で電源を入れてみた。それでもダメ! とうとうマザーボードの故障かと諦めかけたときひらめいた。もしかするとBIOS保持用のリチューム電池がNGになったのでは・・・・と、電池を外してテスターで調べてみた。CR2032は3Vきっかり。もう一度、マザーボードに戻して試しに電源を入れるとBIOSが立ち上がった。やった!とBIOSの設定からやり直してパソコン殿は蘇生してくれた。やれやれである。リチューム電池がへばってきたか接触不良だったようである。

 天気予報は悪くなる一方、東北地方と関東甲信越の太平洋側は大雪になる模様。伊豆が岳は雪があった方が楽しい山ではあるが西武秩父線や八高線は雪に弱く、ちょっと積もっただけで不通になることが多い。山には登れたが帰ることができなくなったら最悪である。みんなそんな思いで正丸駅に集まったはずである。総勢20名が駅前に集合した。金田さんたちは根の権現経由で伊豆が岳を目指す予定にしていたが天候の不安とメンバーの脱落(?)から正丸から一緒に登ることになった。

 斜めの石段を降りてガード下を潜ると登山口に続き道路は雪の絨毯。およそ3,4cmの積雪、これからも降り続くと今日の帰りにはもっと積もっていることだろう。早めに帰ることが肝要だ。私たちの列を追い越すようにバイクが走ってきた。新聞配達のバイクだが、この雪道、凍結したら難儀することだろう。家の前を雪かきしているお年寄りが居る。"ご苦労様、お邪魔します"と声をかけて歩き過ぎた。

 登山口の馬頭観音まで30分かかった。足元に注意しながら歩いていたのか短かったように感じる。馬頭観音からの山道は適当に雪があるが歩きづらいことはない。左側に流れる谷川の水は清んでいる。大きな石には大きなツララが垂れている。そんな景色の割には気温はそれほど低くも無く、風がない分あまり寒さを感じない。道の両側に立っている背の高い杉木立から時折り枝に積もった雪がどさっと落ちてくる。この塊が頭の上に落ちてくるときがある。痛くはないが、ボカッと叩かれたような感じである。そんなとき、辺りにはらはらと雪が舞った。

 「泣き泣き坂」の下で予定通りアイゼンを着ける。昨日、女房が町田へ出かけ買ってきてくれた6本歯の簡易アイゼンである。簡単に装着できる。泣き泣き坂は適当に雪が着いていて雪がまったくないときよりむしろ登りやすい。ひとがん張りすれば尾根に出る。小汗が引っ込んだところで先に進む。今日は私たちのグループのほか、登っている人は少ないようだ。結局、山頂までの間に出会った人は下ってきた3人だけだった。
 途中で左右に分かれる道がある。右側は少しだけ見晴らしがあるコース、左側は杉林の中を歩く日影コース。今日の天気では見晴らしは望むこともできないからか右コースには雪の上に踏み跡が全く見えない。杉林の中を進む。

 伊豆が岳山頂真下の分岐で男坂を見上げる。急坂に雪がシッカリと着いて鎖も見えない。「自己責任」と書かれた嫌味な標識が立っている。女坂を歩くことにする。でも、条件の良いとき、一度は鎖場にしがみつくのもお奨めである。女坂で左のショートカットを上る。最後の喘ぎ場だ。ひと汗かいて伊豆が岳のいつもの岩陰に出た。12時10分、やはり、少し時間がかかったようだ。

 岩陰にザックを並べ、雪を掻き分けてコンロを用意する。恒例のお雑煮とお汁粉の準備に入る。金田さんがザックから一升瓶を出して封を切った。山形・東洋酒造の 純米酒「忍ぶ川」だった。私は「忍ぶ川」という小説をずい分前に読んで静かな感動を覚えたことを思い出した。東北で育ち、暗い過去を抱いた学生が料亭「忍ぶ川」でおかみの志乃と出逢う。細かなところは忘れてしまったが、終りのほうで哲郎という主人公が結婚を申し込むとき"忍ぶ川の志乃さん"という下りが目に焼きついている。そんな感慨を思い浮かべながら「忍ぶ川」を頂戴した。すっきりした味わいのある銘酒であった。
 日本酒でもう一つ、「岩魚の骨酒」も美味であった。暮れに西穂高を目指した有吉さんがお土産に買ってきてくれたもので竹筒に焼いた岩魚を一匹入れて熱々の日本酒を注ぎ、酒が冷めないうちに頂く。香ばしい風味が口の中に広がり、雪の中で飲む酒としては最高である。

 何でも入っているお雑煮が出来上がった。みんな大きな器をもって集まってきた。ふうふう息を吹きかけながら熱々の雑煮としる粉を口に入れる。小さなコップで食べている岡崎さん、MMCには大きな食器が必需品ですよ。MMCの名物となった「有吉うどん」、森本さんのキムチ汁、鈴木さんの豚キムチなど、上手いものがどっさりと出現し、最後は甘〜い小豆たっぷりのお汁粉が締めくくって、イベントは盛り上がりのなかで終わった。
 雪は相変わらずはらはらと降っていたが誰も気にするものは居ない。静寂な雪景色の山頂で私たちの声だけが響いていた。

 伊豆が岳の帰路の定番コースは小高山を経由して正丸峠に降り、一部車道を歩いて再び山道に入り馬頭観音に出る道をとるのだが、今日の天候から早めに帰ることを考えて、登って来た道を戻ることにした。


 

 13時50分、雪道を快調に下る。問題は泣き泣き坂、でも登った経験から危ないところを注意しながら腰を落として下った。鈴木さんが滑った。あっと言う間に10mほど滑って止った時にはホッとした。ロープに首がかからないかと心配したが上手い具合にすり抜けていった。庄司さんのすべりも豪快だったようだ。一挙に滑り降り、止った後は何ごとも無かったように先に行ってしまったそうだ。

 13時20分ごろ、駅に着き、次の電車は52分と知り、駅前のベンチでも残り酒で今日の快挙に乾杯した。こんな雪の日、乗客は少ないだろうと乗り込んだ電車の中は文字通り誰も居ない。「貸切」である。ここでもお酒がどこからともなく出てきたことは云うまでもない。

 この1年のMMCに幸あれ!と乾杯した。

 

 

 


文責:小川 武

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