
つつじヶ丘のバス停で身支度
|
台風1号崩れの大雨に沿って・・・・ 深田久弥は筑波山を日本百名山に選んだことをこう述べている。"筑波山を日本百名山の一つに選んだことに不満な人があるかもしれない。高さ千米にも足りない、こんな通俗的な山を挙げるくらいなら、他にもっと適当な名山がいくらでもあるのではないかと。しかし私があえてこの山を推す理由の第一は、その歴史の古いことである。・・・・以下略" 台風1号が熱帯低気圧になって大量の雨を引き連れて関東地方に向っている。今朝、家を出るときはまだ降っていないが1日中、不安定な天候と予報、こんな日に果して何人の仲間がやってくるのであろうか。私は秋葉原から8時30分発のTXつくばに乗って集合場所に向った。
1台前のバスで行った篠田さんたちがつつじヶ丘バス停で待っている。辺りはガスで霞んで見えない。集まった人は19名、携帯で遅れていると連絡のあった鈴木さんと北村夫妻を入れると22名、流石MMCに「中止」は無い。身支度を整え10時35分、まず女体山を目指して登り始めた。 蒸し暑い。気温も高いのだろうが湿度は100%近いのだろう。急登を続けていると汗が滴り落ちてくる。そんな中、薄っすらと見えるつつじの花の色が鮮やかだ。クロマオーバーでベクトルスコープをはみ出している(この表現は専門用語過ぎて相応しくない)。足休めにつつじヶ丘のつつじをデジカメに収める。
大勢の子供づれの団体に先を阻まれなかなか進めない。先頭はずい分先に行ってしまったようだ。無線で何処かで一旦集合しようと呼びかける。40分ほど登った弁慶茶屋の周りでMMCのみんなが足を止めた。 慌てたような声の方を見ると山本さんがへたり込みそうになっているのを数人が支えている。私も手を貸して椅子に座らせた。田中さんが茶屋の人に声をかけ、病人が出たので中で休ませて欲しいと頼んだら、何と!駄目だと言う。こんな店があるなんて信じられない。この茶屋はとかく評判が良くないとは聞いていたが噂どおりであった。幸い山本さんは5分ほど休んで回復したが、この蒸し暑さの中を一気に登ってきて軽い脳貧血を起こしたのだろう。 北村さんが追い着いて来た。奥さんはケーブルで登っていると云う。
奇岩を楽しみながらわいわいがやがや登って行くうちに女体山山頂に着いた。山頂には北村夫人のほか、遅れてきた鈴木さんも居る。鈴木さんは中国の北東、ハルピンまで8日間の旅をして昨日帰ってきたばかり、タフなお方である。
深田久弥は筑波山には歴史がある、と記述しているが万葉集にもいく首の歌が読まれている。歌に興味のある方は「日本百名山」を読んで頂きたい。また、双耳峰の2つの峰をイザナギ、イザナミの二神に喩えて男体山、女体山と称している。今、私たちが立っている女体山山頂は標高876m、一等三角点がある。男体山は870mとやや低く、ノミの夫婦、いや、ノミの御夫婦神である。女体山には神主を駐在しており格も上らしい。 展望は全く無い。どちらが北か南かも分からない。記念写真を撮ってイベント広場に向う。山頂を下ってすぐに「ガマ石」がある。これはご存知、ガマの油売りの「蝦蟇」、形は似ているようだが、後からつけた名前だろう。その次に現れた大石は「せきれい石」、これが何でセキレイ石? 私は少し考えて分かった。昔、読んだ「古事記」にイザナギ、イザナミの命が国を作ろう(生もう)とまぐわうことになった。だが、そのやり方がわからない。そこへセキレイが飛んできて泊り、頭と尾羽を忙しなく動かしているのを見て得心すると云うところがあったと記憶している。この記述だけでなく、古事記はかなりエロティックな内容が多い。現代語訳を何回か読んだが、最後まで読み通していない。これは「源氏物語」も然り。せきれい石の解釈が正しいかどうか知らないが女体山と男体山の間にある巨石なので多分正しいと思う。何方か知っている方は教えて下さい。
いつものように宴会は延々と続いた。久保田、真澄、・・・・銘酒に酔い痴れる。鍋奉行は当初、高橋さんと恭子が担当。途中からお酒の入った庄司さんに交替した。柿の種や乾燥剤のパックまで入っている。味は薄い! 庄司さん、料理教室に通っているそうですが料理担当のときはお酒を控えてくださいね。
男体山の登り口広場には売店も並び、明るい雰囲気が漂っている。売店で「ガマの油」(300円)を買った。お馴染のガマ口上ではその効能を"いつにガンガサ、ゆう梅毒、次にひび・あかぎれ・しもやけの妙薬、前に回ってインキンタムシ、後に回って出痔・いぼ痔・はしりの他、一切の切り傷。・・・"、その他、際どい表現で何にでも効くように云うが、この薬の説明では流石に誇大広告はしておらず、"皮膚荒れを止め、キメを整え潤いを与える"とだけ書いてある。所謂、ハンドクリームなのだ。
登山口にザックを置いて男体山に駆け登る。駆け登るはオーバーだが、お酒を飲んだ後の急登は本当に厳しい。すぐに息が上がってしまう。それでも10分ほどハーハー云って男体山本殿に到着。さっそく屋根の上の千木を見る。確かに垂直切れで男神を象徴している。何も無く、何も見えないのですぐに下る。 筑波山神社までの下りはケーブルカー沿いに標高差約580mを一気に下る。泥濘とごろた石の下りは足元注意である。木立ちに阻まれ空は暗く湿度最高で汗が出る。結構厳しい。途中、男女川水源を見る。"筑波嶺の峰より落つる男女川 恋ぞ積もりて淵となりぬる"(後陽成院)の歌が書かれた標識がある。
目の前のケーブルが動き出し、がらがらと音が鳴り出した。しばらく待って下りてきた車両に向ってケーブルカーで降りた筈の庄司さん、大箸さんが乗っていないかと大声を出す。乗客が手を振っているが二人は居ない。1台前のケーブルで降りたのだろう。 バス停に全員がたどり着いたときには雷も大分近づいてきたようだが、まだ雨は降ってこない。空を見上げているといきなり"バシッ!"と物凄い雷鳴が轟いた。光と雷鳴が同時で後の売店は停電した。その目の前の林に落ちたように感じた。それまでバス停近くで屯していた人たちも慌てて売店軒下に駆け込み、空を見上げている。そのうち、猛烈な雨が地面を叩きつけるように降りだした。バスは後5分で来る筈。
大型バスはほぼ満席でつくばバスセンターに向って走り出した。ワイパーが忙しなく動いている。人いきれでバスの中は蒸し暑い。でも、みんな楽しそう。登りでハプニング、下りの泥田歩き、目の前の落雷、なかなか経験できない体験であった。今日のようなお天気でも楽しんでしまうMMCは素晴しい! 帰りのTXの車窓から雨も上がり晴れわたった空に大きな虹を見た。虹の麓には宝物があるんだと聞いたことがある。 写真:田中、平井、篠田、恭子、小川 (敬称略)
|